流通ジャーナリスト金子哲雄の食いだおれ日記 -3ページ目

池袋・鍋居酒屋クロキ


クロキ 東京ミッドタウン、新丸ビルなど、都心のど真ん中では、オフィス、ホテル、商業施設などが一体型と再開発が進んでいます。ミッドタウンの高層階から都内をぐるりと見渡すと、臨海部では建設機械のクレーンが動き回っているものの、山手線でいうと新宿、池袋、巣鴨、上野間は、新規の高層ビル建設は目立ちません。その分、古きよき東京の街が残されています。先日、山手線内の「平均ランチ価」(テイクアウトを除く)をチェックしたところ、六本木地区は1000円台、池袋地区では600円台と4割も安いんですよ。西口の商店街を歩くと、そこはちょうど、昭和時代の面影が色濃く残る歓楽街なんです。東口で30年以上、店を開けている焼き鳥店のおかみさんによると、その通りで今でも、同じ商売をしている店はその焼き鳥店だけとのこと。後は時代に合わせて商売を変えています。最先端のデザインの店を否定するわけではありませんが、どうも、店が汚くなっても、顧客が納得する業態、例えば大衆焼き鳥や焼き肉といったものは、初期投資を回収し、店舗の減価償却が終わってからも、さらに稼ぐことができます。つまり、店が古くなれば古くなるほど儲かる仕掛けなんですね。今、メディアではやれセレブだ、ITだと騒いでいますが、メディアで騒がれているビジネスは、流行り廃りがあるわけです。店が古くなったり、汚れてくると、客離れが起きるため、改装しなければなりません。当然、お金もかかります。ということは、メディアで取り上げられないような商売をやることが、長く続けるポイントではないでしょうか?

「小さな商売は陳腐化しない業種を選ぶ」

もつ鍋居酒屋クロキで感じました。

・もつ鍋居酒屋 クロキ

・電話 03-5960-3362 予算 お酒を飲まなければ2000円くらい
・所在地 〒171-0021
東京都豊島区西池袋1-22-2 新ナカヤビルB1~B2
池袋西口から徒歩1分

・地図(ぐるなび)

・営業時間 年中無休

平日 17:00~03:00(L.O.02:00) 
金   17:00~04:30(L.O.04:00) 
日  17:00~23:00(連休最終日)

東京・手羽先 世界の山ちゃん

山ちゃん行って来ました、名古屋発の人気手羽先店、「世界の山ちゃん」神田須田町店へ。4月2週目の週末ということもあり、新人と中堅社員を交えた飲み会や歓送迎会で大混雑、午後7時30分頃、行くと約40分ほど待たされるほどの盛況ぶりでした。ところで、今、都心部では名古屋から進出した店が急増しています。雑誌などでも、名古屋商法などが紹介されていますが、いずれにしても堅実経営の代名詞が名古屋スタイルのようです。もともと、名古屋にしか店がなかったにも関わらず、「世界の山ちゃん」と名付けてしまう社長さん、なかなかセンスがいいです。考えてみれば、言ったもん勝ちですものね。さて、山ちゃん、東京の一等地、すなわち家賃が高いエリアに出店しているんですよ。しかし、さすが名古屋スタイル、一等地でも比較的家賃が安い地下一階、地下二階といった場所に店を出し、固定費を削減しています。店長のおすすめメニューを見ると、手羽先だ、納豆オムレツだといった原価率が安く、逆に利益が高いものから、推奨しているかに見えました。店に入り、待つこと5分、待望の手羽先が出てきました。コショウがたっぷりかかっており、軽くかじるだけでも塩っ辛く、ビールやウーロン茶をがぶ飲みします。おそらく、手羽先は、ドリンクを飲ませるために売られているのだと予想されます。もともと手羽先はだしをとるくらいしか活用法がなかったそうです。つまり、捨てる部分、それを料理して、お金をとったのが手羽先なんですね。捨てる部分でさえも、しっかり利益を稼ぐ、名古屋商法、さすがです。


「捨てるものでしっかりと利益を稼ぐ」


世界の山ちゃんにて感じました。


・世界の山ちゃん 神田須田町店


・電話 03-3251-1011


・所在地 東京都千代田区神田須田町1-10 大手町建物須田町ビルB1F

(丸の内線 淡路町 都営新宿線 小川町A1出口より徒歩1分)


・営業時間 午後5時~深夜0時15分 定休日なし(年末年始のぞく)


・地図

http://www.yamachan.co.jp/shop_detail.php?name=kandasuda

仙台・牛たん炭焼き 利久

利久

仙台といえば、牛たん料理。今では全国区の名物になりましたが、もともとは、特産品として存在したのではな く、諸説ありますが、地元の方が地道に牛たん料理を広げていったと言われています。仙台駅構内にも牛たん横丁があり、観光客で賑わっていますが、なんだか、都内の駅ビルの中と変わらないため、風情がありません。そこで、地元の方が通う、牛たん料理店を尋ねました。粉雪が舞う中、繁華街のメインストリートから一本入った路地裏というのは、「北国に来た感」があり、うれしくなります。カウンターに座り注文したのですが、なかなか、焼き方がいいんですよ。1メートル四方の網焼きが置かれ、お客の目の前で、牛たんを焼いてくれます。目の前で肉が焼かれているのを眺めていると、待っている時間もまた、楽しくなり、早く、食べたいという気持ちを高めてくれます。素材が新鮮で、調理技術が高ければ、おいしい味かもしれませんが、「もう一度、食べたい」ということにはなりません。そう、品質がよいだけでは、感動を生むことはできません。意図的に、その素材が最もおいしく感じさせるような食べさせ方、店の雰囲気作りが重要です。どうも、産地に近づけば近づくほど「素材がよい」ことに気をとられてしまい「おいしそうに感じさせる」雰囲気作りが軽視されているように感じます。高速道路や航空路の発達により、都心においても、新鮮な素材を調達することは可能です。都会ではなく、産地に出かけてまでも、消費者に「食べたい」と思わせるためには、食べさせ方を意識することがポイントではないでしょうか。


「売上は売場演出で変わる」


仙台の牛たん料理店で感じました。


・牛たん炭焼き 利久

〒980-0021 仙台市青葉区中央2丁目2-16

電話022-716-9233 営業時間 電話もしくはホームページで確認

http://www.rikyu-gyutan.co.jp/

NY・小籠包 鹿鳴春

鹿鳴春NYに行くと必ず立ち寄るのが「鹿鳴春」(Joe’s Shanghai)という小籠包を中心とした中華料理店です。店内に入ると、店主が荒川静香さんやハリウッドスターと肩を組んで撮られた写真が。どうやら、有名人好きな店主のようです。平日の午後9時を過ぎても、行列ができるほどの混雑ぶりです。もちろん、値段はリーズナブル。夕食の時間帯に5人でお腹いっぱいになるまで食べて約7000円くらいです。アメリカにおいて、集団で騒ぎながら食べる料理といえば、バーベキューですが、屋外調理のため、冬場にはどうしても、食べる回数は減るようです。そこで、人気なのが、中華料理を囲みながら、食事を楽しむことです。舌をやけどしないように気をつけながら、茶巾状になった小籠包の皮をあけると、濃厚な肉汁がしみだし、豚肉のコクとうまみが、口の中、いっぱいに広がります。NYにいながらにして上海気分を味わえるとあって、アジアンフード好きなニューヨーカーが通いつめるのも理解できます。不思議なもので、同じ料理であっても、気の合う仲間と食卓を囲むと、味は数倍、おいしく感じるものです。そう、繁盛している店は、多少、味がおいしくなくても、仲間とわいわい食べたり、飲んだりできる雰囲気がスパイスとなり、満足感を高めています。逆に、静かな雰囲気で食べる高級店は、お客の期待値が高いだけに、シェフの腕も求められます。当然、腕のよいシェフの人件費は高く、素材代なども上昇するため、利益を出しにくいようです。そう、儲かっている店は「わいわい大衆中華店」なんですね。


「仲間といっしょに食卓を囲める大衆店は繁盛する」


NYの鹿鳴春にて感じました。



・鹿鳴春 Joe'sShanghai Chinatown, NYC 店


9 Pell Street New York, New York 10013

電話: 212-233-8888 Fax: 212-233-0278

営業時間 月曜日から日曜日

午前11時~午後11時(営業時間等、要電話確認)


http://www.joeshanghairestaurants.com/

亀戸・亀戸ホルモン

亀戸ホルモン 新装オープンした亀戸ホルモン(JR亀戸駅前・通称:亀ホル)に出かけました。同店はその名の通り、芝浦の市場から直送した新鮮なホルモンを食べさせてくれる店です。お世話になっている方から「おいしいよ」と伺っていたので、もう、行きたくて、しょうがなかったのですが、いつも行列ができているので、なかなか入店できませんでした。ふと店の前を通ると、何とか30分くらいで入れそうなので、行列に加わり、待つこと20分、やっとのことで、立食用のテーブルにつくことができました。ホルモンは600円、乳製品に似た、とろけるような食感は、いくら食べても胃にもたれず、「並んだかいがあった」と、口を動かしながら、しみじみ感じていました。ねぎとにんにくがまぶされた「レバーのたたき」も、責任推奨メニューの一つです。焼肉店というと、客を椅子に座らせて、肉が焼ける間にビールや焼酎を飲ませ、利益を稼ぐのが一般的ですが、亀ホルはドラム缶を2本並べ、その上に板をはわせただけの立食カウンタースタイル。店内の内装コストは高級店の10分の1くらいと推定されます。立ち食いですから、長居するお客はいません。カウンターや椅子席もありますが、立食のほうが腕を伸ばしやすく、胃に肉がまっすぐ入るせいか、リズムにのって食べることができます。食べ終わると、直ちに退店するため、店側にとっても、回転率は高まり、売上もアップします。そう、焼肉でも、すしでも、立ち食いでいいんですよ。座って食べることよりも、安いのですから。同じ料理でも、立食料金と着席料金、変わっていいんです。予算や、いっしょに行く相手によって、座るか、立つか、選択できることが、より顧客志向ではないでしょうか。

「お客もお店も得する店は繁盛店になる」


亀戸ホルモンにて感じました。


・炭火焼肉 亀戸ホルモン

江東区亀戸5-4-9 第二ドミール1F 

電話 03-3683-2209 年中無休

営業時間 午後6時~午後11時(ラストオーダー)